参-予算 2014年03月05日@その1

【質問要旨】NPOへの支援
 ①収益ではなく、目の前にある課題を解決するため、NPO等非営利組織で起業する女性たちが増えている。こうした女性たちの起業は地域の活性化に確実に役立っている。こうした女性たちの活動をもっと支援すべきだと考えるが、どうか。(総理)
 ②NPOへの創業支援については、中小企業等との連携という要件をつけず、NPOをストレートに創業支援の対象としてもらいたい。(経済産業大臣)
 ③ NPOを中小企業信用保証の対象にしていただきたい。(経済産業大臣)
 ④   NPOを中小企業同様、地域活性化、雇用拡大、新しい経済の担い手として中小企業政策において位置づけ、各種施策の支援対象とできるよう、速やかに中小企業基本法を見直して頂きたい。(経産大臣)
 
【速記録】
参-予算委員会-007号 2014年03月05日(未定稿)

○山本香苗君 公明党の山本香苗です。よろしくお願いいたします。
 先日、福島市内で阿部美和さんという方にお会いしました。彼女は、歯科衛生士として福島市内で初めて障害者歯科診療の立ち上げに携わって、それ以来、障害者の支援に携わりたい、そういう熱い思いを持っておられたそうです。そして、震災を機にNPOを立ち上げて、桑の実というカフェをオープンして、障害者の就労支援を今行っておられます。連日、ランチのときはお客さんでほぼいっぱいになるそうです。現在、障害者の方を五名雇用されておりますけれども、もっと雇用したいといったお話を伺いました。

今、この阿部さんのように、お金を稼ごうということよりも、自分の目の前にある課題を何とか解決したいという思いでNPOなど非営利組織の形で起業する女性たちが増えています。私は、もっとこうした方々、こういったNPOなど非営利で起業する女性の人たちを支援していただきたいなと思うんですが、総理はどういうお考えでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨年、官邸におきまして、そうしたボランティア団体、NPOの方々で障害者を活用あるいは雇用している方々を集めた際に、ある女性の方は、これは三軒茶屋でフレンチレストランを経営しておられるんですが、知的障害あるいは精神障害の方々を従業員として使っておられると。私もそこに一回お邪魔をしたわけでございますが、大変な人気でございました。

これはまさに女性ならではの感性によってうまく経営をしておられるなと、こう感じたところでございますが、地域の課題解決や地域活性化の上でNPOは大変重要な役割を果たしているわけでございまして、政府としてもこれらの活動の広がりを後押しすることが重要であると認識をしておりまして、政府としても、例えば商店街の空き店舗を活用した預かり保育など中小企業と連携した事業を行うNPOの創業を支援しているほか、女性の起業家を優先的に支援するなど積極的に支援を行っているわけでございますが、今後とも、人材、信頼性の向上といった点からNPO等の活動を支援をし、そして活力ある共助社会づくりを進めていきたいと思います。

○山本香苗君 今お話にありましたNPOへの起業支援につきましては、先月の予算委員会におきまして茂木大臣から、三月に開始する公募においてNPO法人も支援対象としたいと答弁していただきました。しかし、三月から始まった公募におきましては、中小企業者と連携した事業を行うNPO又は中小企業者の支援を行うために中小企業者が主体となって設立するNPOと要件が付いています。中小企業に裨益効果があるかどうかじゃなくて、NPOをストレートに支援していただきたいんです。茂木大臣、お願いいたします。

○国務大臣(茂木敏充君) 山本委員、海外の事情もお詳しくて、ノンプロフィット・オーガニゼーション、単にボランティアではなくて、海外では様々な社会の分野で極めて重要な役割を果たしている、間違いないところであります。委員の御指摘もいただきまして、二月の末から実際公募を始めておりますが、そこの中では一定の要件を掛けつつもこういったNPO法人について対象としていきたい。

 ただ、その範囲についてもう少し広げられないかと改めて御要望をいただきましたので、関係省庁とも協議をいたしまして、こういった創業の補助金、一回だけでやめようと思っておりません、継続したいと思っておりますので、今後どのような範囲にできるかと検討してみたいと思います。

○山本香苗君 ありがとうございます。

 もう一つお願いです。NPOは、創業支援の対象でないだけではなくて、中小企業信用保証制度の対象外なんです。NPOがお金を借りるのは大変です。是非対象にしていただきたいんですが。
○国務大臣(茂木敏充君) 現在、委員おっしゃるように、この信用保証制度の対象となっていない、そのためにどうしてもNPOとしての事業活動、本来だったら広げたいのに広げられない、こういう部分もあるんだろうと、そんなふうに思っております。

今後、実態といいますか、例えば事業実態において会社と同等にみなせるか否かとか、NPO法人に対します既存の支援策とのバランスの問題であったりとか、中小企業政策の対象となっていない一般の社団法人などほかの法人形態とのバランス、こういったことも検討しなければなりませんが、どんなことができるか検討を開始したいと思います。

○山本香苗君 要するに、現行におきましては、何が何でも中小企業と絡めなくちゃ駄目だというような要件が課されているわけですが、今大臣の御答弁の中にありましたとおり、NPOの中には中小企業とほとんど実態が変わらないような事業型のNPOというのもございます。また、地域の活性化や雇用創出に大変役立っているというNPOもよくあることを御存じだと思います。
 是非とも、NPOをまたこの中小企業と同様に新しい経済の担い手としてしっかりと位置付ける方向で、中小企業基本法並びに既存の法律、制度、それを可及的速やかに見直していただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) 中小企業基本法でありますが、委員も御案内のとおり、中小企業者、これを新たな産業の創出、そして市場における競争の促進などの使命を有するものと捉えておりまして、原則として営利を目的とする事業者、これが中小企業基本法の対象でありますが、御案内のとおり、関連の法案であったりとか、それに関連した施策たくさんありまして、そこの中の一部では、中小企業等の振興に資するNPO法人、これも対象にしているところでありますけれども、これから恐らく健康、医療、福祉、社会教育、こういった分野でNPO法人の出番といいますか役割はますます大きくなってくるなと、そんなふうに思っております。

そういった中で、会社であったりとかNPO法人など組織形態も多様化している。つまり、社会のニーズ、活動できる分野も組織も非常に多様化をしているという中で、基本法ですから、なかなか明日すぐにという話にはいきませんけれども、今後どういうふうに考えていったらいいか、よく整理をしてみたいと思っております。

○山本香苗君 検討に着手をしていただけるという御答弁だと理解して、次に行かせていただきたいと思います。