【動画・字幕つき】2023年3月6日 その2@予算委員会

 211-参-予算委員会-5号 令和5年3月6日

反撃能力の保有について

https://youtu.be/IsSsE8K2Sy4

○山本香苗君 ありがとうございます。是非、今実際福祉的な支援をやっているわけですけれども、法的に位置付けがないというところで、大臣よくお分かりだと思いますので、是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、反撃能力の保有についてお伺いします。

 総理、我が国が反撃能力を保有する意義は何でしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 近年、我が国周辺のこのミサイル関連技術、そして運用能力、これ飛躍的に向上しています。質、量共にミサイル戦力が著しく増強する中で、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することが難しくなりつつある、こうした現実があります。

 このため、我が国としても反撃能力を保有し、国民の命や暮らしを自らの力で守り抜く努力が必要とされます。これにより、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させて、我が国に対する弾道ミサイル攻撃等に対応していくことが不可欠な状況となっています。

 この反撃能力保有の目的は相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力であり、これにより武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えております。

○山本香苗君 反撃能力をどう使うかではなくて、反撃能力を、相手に撃たせないこと、思いとどまらせることが何よりも重要だと。

 そこで、改めてお伺いしますが、相手に撃たせないためにどの程度の反撃能力を持てば十分なんでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) 我が国周辺ではミサイル関連技術と運用能力が飛躍的に向上し、質、量共にミサイル戦力が著しく増強される中で、日米両国はミサイル攻撃の脅威に対処するための日米同盟の抑止力、対処力向上をさせる必要性を強く認識しております。

 我が国が保有するスタンドオフミサイルのうち、どの程度を反撃能力として活用するかは具体的に申し上げることは困難でありますが、いずれにせよ、反撃能力を含む防衛力の抜本的強化により、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させ、共同の意思と能力を示すことによって我が国に対する武力攻撃を抑止していきたいと考えております。

○山本香苗君 我が国単独ではなく、日米共同で対処をすると。その際の日米共同の役割分担はどうなりますか。

○国務大臣(浜田靖一君) 我が国がハンゲン能力を保有しても、今後も日米の基本的な役割分担は変更はありません。

 その上で、昨年末に策定した国家防衛戦略では、反撃能力に関し、弾道ミサイル等の対処と同様に日米が協力して対処していくこととするほか、情報収集を含め、日米共同でその能力を効果的に発揮する協力態勢を構築することとしております。

 これにより、日米同盟の抑止力、対処力を一層向上させて、我が国に対する弾道ミサイル攻撃等に対応していく考えであります。

○山本香苗君 総理、今日午前中も、我が国のこの反撃能力を盾のための能力ということで御答弁されておりましたが、この盾のための能力というものの意味合いは何なんでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今の防衛大臣の答弁の中にもありましたが、日米ガイドラインに明記をされている日米の基本的な役割分担は変わらないと申し上げた上で、先ほど申し上げました、既存のミサイル防衛網だけで完全に現在のこのミサイル関連技術や運用能力の向上に対して対応することが難しくなっている、そこで、反撃能力を保有して日米同盟の抑止力、対処力を向上させることが不可欠になっている、こうしたことでありますが、その中で、いわゆるこの盾と矛の役割について政府として確立した定義があるわけではありませんが、この反撃能力はミサイル攻撃から国民を守る盾のための能力である。要するに、日米の盾と矛の役割分担については従来どおりですが、その中で、盾の部分の能力を高めるための能力であると認識をしています。

○山本香苗君 拒否的抑止ということでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) その拒否的抑止、あとは懲罰的抑止と、いろいろ抑止あります。ただ、その定義等についてはちょっと十分承知しておりませんが、いずれにせよ、今申し上げた形で抑止力、対処力を高めるための能力であると認識をいたします。

○山本香苗君 あくまで拒否的な、まあ要するに、攻撃的な抑止力ではなくて、必要最小限度の反撃能力という意味合いで拒否的抑止という言葉が使われているので、それと同義かということをお伺いしたわけなんですが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今委員が御説明されたようなことであれば同義であると考えます。

○山本香苗君 その上で、トマホークはなぜ必要なんでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) 今般の防衛力の抜本的強化に当たっては、スタンドオフ防衛能力を抜本的に強化することとしておりますが、スタンドオフ防衛能力とは、隊員の安全を確保しつつ、東西南北それぞれ約三千キロに及ぶ我が国領域を守り抜くため、島嶼部を含む我が国に侵攻してくる艦艇等に対して、脅威圏外から対処する。そしてまた、我が国への侵攻がどの地域で生起しても、我が国の様々な地点から重層的にこれらの艦艇等を阻止、排除できる必要かつ十分な能力を保有するといった方針に基づいて整備していくものであります。

 その上で、国産スタンドオフミサイルの増産体制確立前に十分な能力を速やかに確保するため、トマホークを早期に取得することとしております。

 また、防衛省が取得を進めているトマホークは、最新型のbブロックVであり、長い射程を有し、迎撃を回避する飛翔も可能です。なお、米国は対艦攻撃用も開発中と承知をしているところであります。

○山本香苗君 関連して、済みません、大臣、四百発っていうんですが、なぜ四百発なんでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) まず、トマホークは、反撃能力を保有するために取得するわけではなく、スタンドオフ防衛能力として整備されるものであります。

 その上で、今回、防衛力の抜本的な強化の検討に際しては、極めて現実的なシミュレーション、必要な数量を導き出しておるところであります。国産のスタンドオフミサイルを必要な数量を整備するには一定の時間を要することから、それまでの間に十分な能力を確保するが必要であると考えております。このため、国産ミサイルの開発、生産のスケジュールや製造能力を踏まえてトマホークを四百発取得する予定であります。

○山本香苗君 現実的に可能だった、取得が可能な数ということでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) 今お話を、御説明をさせていただきましたけれども、我々とすれば、いろいろなこの現実的なシミュレーションを踏まえ、この数量を導き出したということでございます。

○山本香苗君 またよく精査をさせていただきたいと思いますが、これまでの国会論議等におきまして、反撃能力は先制攻撃にはならないと答弁されておりますが、先制攻撃にならないことはどう担保されているのでしょうか。

○国務大臣(浜田靖一君) 反撃能力は、憲法、国際法、国内法の範囲内で運用され、専守防衛の考え方を変更するものではなく、武力の行使の三要件を満たして初めて行使され、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されないということは言うまでもありません。

 また、反撃能力を含む武力の行使について、事態対処法上の手続の観点から申し上げれば、政府は武力攻撃事態に至ったときには、事態の経緯、事態の認定及び武力行使が必要であると認められる理由、対処に関する全般的方針、対処措置に関する重要事態、あっ、事項について対処基本方針として閣議決定をし、国会の承認を求めることとなっております。

 この際、武力の行使の三要件の第一要件である武力攻撃の発生についても判断されるほか、個別の事態の状況に応じ、反撃能力を含めた一連の武力の行使が必要である理由をしっかりと記載していくこととなります。これにより、国会承認について御判断いただくのに必要な情報が提示されることになり、国会の関与を経て、得て、反撃能力が運用されるものと考えております。

 なお、反撃能力の行使に関し、現実の問題として相手側のミサイルの発射、特に第一撃を事前に察知し、その攻撃を阻止することは難しくなってきていることは事実であります。こうした状況も踏まえ、国家安全保障戦略等においてもミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力を保有すると記載したところであります。

○山本香苗君 総理、確認ですが、要は、今、厳しい厳格な手続があると、なので、恣意的な運用はできないと、先制攻撃はあり得ないということでよろしいでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) おっしゃるように、今防衛大臣から答弁したとおり、この手続を経ることによって、政府のみならず、国会の関与も得て、経て慎重を期して判断される、こうしたことになります。こうしたプロセスを経ることによって、この運用が行われる、反撃能力がこの先制攻撃にならないなど、この憲法や国際法、国内法に従って適切に運用されることになる、こういった説明を今防衛大臣から申し上げたところであります。

○山本香苗君 あり得ないと一言で言っていただければと思った次第でございますが、よろしくお願いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先制攻撃になることはあり得ないと考えます。

○山本香苗君 昨年末に安保三文書が取りまとめられまして、現実の安全保障に適合した戦略が取りまとめられたわけでありますが、現実にこれが全部実現できるかどうかというのはこれからが大事であります。これまでも計画どおりいかなかったこともありました。しっかり検証していくことが大事だと思っております。

 政府におかれましては、国会において、この軍事技術的な実態や現状を踏まえた建設的な議論ができるように、毎年の達成状況など必要な情報提供や丁寧な説明により一層努めていただきたいと思います。

 と同時に、外交、防衛のみならず、経済だとか科学技術とか様々な分野の方々にも幅広く検証していただいて、国民の皆様方の理解を得る努力をすべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員の方から、この三文書のフォローアップという点で御質問いただきましたが、そもそもこの三文書については、策定に当たって、国家安全保障局等による数十人の有識者へのヒアリング、また、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議等を通じて専門家の方々から様々な意見を伺ってきた、こういった作業を続けてきました。

 そして、委員御指摘の三文書の策定後においても、国民の理解を得ながらその内容を適切に実施していく必要があり、この関係省庁において第三者による専門家会議を設置するなどということもその方策の一つであると考えます。例えば、既に国家安全保障戦略等に定められた人的基盤の強化を着実に実現するため、防衛大臣の下、防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会、これを新たに設置をされています。

 こうした取組を通じて、国民の理解と協力が得られるように努力をしていく、こうしたフォローアップのありようは大事にしていきたいと考えています。

○山本香苗君 国民の理解あってこその安全保障です。是非よろしくお願いしたいと思います。